信義布農糯米糕は豊年祭や射耳祭など布農族の部落儀式に欠かせない伝統的な供え物である。円もち米を蒸してから木臼と杵で繰り返し搗いて作り、極めてQで弾力があり純粋な米の香りを持つ。伝統では砂糖も油も加えない。搗く動作そのものが儀式の一部であり、東埔と地利の村では今も部落の女性がこの技を受け継ぎ、旅人が儀式の味を体験できる機会を提供している。
布農族最大の伝統祭儀は射耳祭(布農語でMalahtangia、「鹿の耳を射る」の意)で、各部落の標高や粟畑の除草の進み具合によって時期は異なるが、通常は毎年4月から5月にかけて頭目が部落の男性を祭場に召集して行われる。伝統的に女性は参加できない。もち米の蒸し餅はこうした祭儀の場で供えられる伝統的な供物のひとつだ。
布農糯米糕とは
伝統的な布農もち米の蒸し餅は円もち米を蒸してから杵臼で搗き、食感が極めてQで弾力があり純粋な米の香りがある。伝統では砂糖も油も加えず穀物の本来の味を保つ。現代版は多くの場合部落の女性が手作りし、落花生粉・あんこなどの在地の食材を加えて風味に層を増しているが、核心は搗く工程がもたらす扎実な弾力で、機械で作った餅とはまったく異なる。外形は手で丸めた円塊か切り棒状が多く、表面には落花生粉がまぶされて引っ付きを防いでいることが多い。
信義郷農会は原住民の農特産を推広しており、部落の女性のもち米の蒸し餅を農会の集散拠点での販売に組み込み、信義郷部落キッチンの活動でもデモンストレーションを行っている。常態的に供給されていないのが最大の特色で、祭典シーズン(11月前後の秋収祭)と農会市集の活動期間が最も手に入りやすく、平日は農会か部落に電話で現作りがあるか確認が必要だ。東埔温泉区周辺の部落レストランで時々提供されることがある。
地元流の食べ方
地元の常識
客観的な裏付け
- 信義郷農会は布農族のもち米食文化を原住民農特産の推広計画に組み込んでおり、農会の公式活動記録で確認できる。
- 南投県政府原住民族行政局は布農族の伝統的なもち米食文化を記録しており、重要な族群飲食文化資産として列名している。
訪問のヒント
- 祭典以外の期間の現作り餅の供給は極めて不安定で、必ず食べられる心構えで来ないこと。平日の訪問は農会活動の確認を優先しよう。
- 杵臼の手作り版と機械製品の食感の差は顕著だ。購入時に作り方を尋ねて、手作りで搗いたものかを確認しよう。
- 保存期限が短く当日中が望ましい。持ち帰る途中4時間を超える場合は冷蔵をすすめる。翌日は食感が明らかに落ちる。
出典:信義郷農会原住民農特産推広資料・南投県政府原住民族行政局。
よくある質問
布農族の射耳祭はいつ行われるのか。
通常は毎年4月から5月にかけて行われ、正確な時期は部落の標高や粟畑の除草の進み具合によって多少調整される。
射耳祭に女性は参加できるのか。
伝統的に射耳祭は男性の族人のみが参加でき、女性は参加できない。
祭典以外の時期に手作りの餅があるか確認するには。
祭典以外の期間は供給が不安定なため、事前に信義郷農会か部落に電話して現作りがあるか確認しておくとよい。